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もし数学の運転免許学科試験があったら

次の文章が数学的に正しいときは○、誤っているときは×を記入せよ。​​

1(5点). 代数群Gの単位元を含む連結成分は, Gの指数有限の正規部分群である.

2(5点). 有理数体上の楕円曲線が素数pにおいてgood reductionを持つならそれとrational-isogenousな楕円曲線もpにおいてgood reductionを持つ.

3(4点). 群コホモロジーは群である。

4(5点). Isogenousな楕円曲線のregulatorは一致する。

5(1点×6問).

  (1)Kodaira symbolは楕円曲線のNeron minimal modelの$\bar{F}_p$上のspecial fiberのスキームとしての同型類を分類している記号である。

  (2)I_0^*型においてNeron modelのcomponent群\tilde{ε}(F_p)/\tilde{ε}_0は位数4の元を持つ. 

  (3)Kodaira記号が同じ楕円曲線は同じTamagawa数を持つ. 

  (4)​楕円曲線のreductionがgood, split multiplicative, non-split multiplicative, additive reductionであることはisogenyで保たれる. 

  (5)奇素数pでIII^*型の還元を持つQ上の楕円曲線をpと素なDで2次ツイストした楕円曲線E^D/QはpでIII^*型である. 

  (6)Q上の楕円曲線E/Qが奇素数pでI_0^*型の還元を持つ時, 2次拡大をうまく選べばgood reductionにできる.

6(5点)

 pを楕円曲線E/Qのgood primeとする. H^1(Q_p, E)はEが作用するp進体上のトーサーが必ず有理点を持つことから0である. 

7(5点). Kを局所体, E/KをK上の楕円曲線とする. Kの整数環をOとする. E_1(K)をreduction map E_1(K)\to \tilde{E}_{ns}(k)のKerとすると, E_1(K)はOと位相群として同型である. 

8(5点). Q上の楕円曲線E/Qに対し, 2次拡大体Q(\sqrt{D})に持ち上げると同型になる楕円曲線E^D/QをE/Qの2次ツイストという. E/QのWeierstrass方程式をy^2=f(x)と書くとき, square-freeな整数Dを用いてE^D: Dy^2=f(x)とかける. 

9. アーベル群A上の非退化なpairingはA[2]に制限しても非退化である.

 

10. 楕円曲線のTate--Shafarevich群は有限性を仮定しなくても捩れ群であることがわかり, 全ての素数lに対するl^{\infty}-partが同型ならTate--Shafarevich群は同型である. 

​解説 : 

1.○ 「具体例1」のコーナーの「玉河数はNeron modelのspecial fiberの連結成分の個数」を参照. 2.○ : Neron Ogg Shafarevichの判定法. 3.△(作用される群が非可換な場合は群構造が入らない。たとえばℤ/2ℤがS_3に自明に作用するときH^1(ℤ/2ℤ, S_3)はf_1: 1\to (12), f_2: 1\to (13)の積で閉じていないので群になっていない。)

4.(1) × 5. I_0以外なら正しい. 教習所らしいひっかけ問題。(2)× 持たない。このことはKlagsbrunの論文のLemma 2.6も初等的な応用がある. つまり, ramified twist Dをv: good reductionのところで施すと, E_1^D(Q_v)には位数4以上の元が存在しない! このときvでKodaira symbolはI_o^*であり, この問題の答えから, 位数4の元はない. そうすると0\to E_1^D(Q_v)\to E_0^D(Q_v)\to F_v \to 0という完全列からE_0にも位数4がないことになり結論を得る. 

これによってSelmer群のトーサーは4次式だがHilbert記号だけでsolvilityの判定が実質的にできることがわかる! (3)Kodaira記号は\bar{F_p}上の幾何を分類するものである一方., Tamagawa数はF_p上の数論的量でありI_0, II, II^*以外では一般に異なる. (4)○ こちらを参照  (5)○ こちらを参照 

(6)2次ツイストでI_0にでき, 対応する2次拡大でgoodになる. 

6. × 確かにF_p上genus 1 curveは必ず点があり, それがpがgoodならHensel lemmaによってQ_p上に持ち上がる. しかし, 楕円曲線のgood primeはその作用するトーサーのgood primeとは限らない. 実際, n\ge 1に対してH^1(Q_p, E)[n]はE(Q_p)/nE(Q_p)の双対(Tate-local duality)であり, 非自明である. 7. \hat{E}をEの形式群とする. E_M(K)=\hat{E}(O^n}とすると, 十分大きなnに対してE_n(K)\cong Oである. 小さいnに対しては同型を与えるnが同型になるとは限らない. 8. × dy^2=f(x)で書けるものは確かに2次ツイストだが, 2次ツイストがこの形で書けるとは限らない. j-invariantが0, 1728のときに例外が生じる. 9. × 楕円曲線のTate--Shafarevich群のCassels--Tate pairingにおいて, \Sha(E/Q)\times \Sha(E/Q)\to Q/Zの\Sha(E/Q)[2]への制限は退化し, 各termのKerは2\Sha(E/Q)となる. 10. ○

 

PPAP ?

ピコ太郎からの出題:ヒルベルト記号(p,pa)_pを計算せよ。ただしpは素数、aはZpの単数とする。 (答)p≡1mod4のとき (a/p) p≡3mod4のとき-(a/p) (「数学のpdf」のコーナーの「フルシュテンベルグ位相とZの副有限完備化の関係」の§3の1「ヒルベルト記号」を参照

 

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